Building Rockbox - ロックボックスをビルドする
(1)用意するもの
以上をダウンロードし、VMware Playerをインストール及びQEMUを適当な場所に
展開しておく。
QEMUは仮想HDDを作成する機能を使うだけなので、他のソフトを使うのも可。
NHC とか。
(2)仮想HDD Vine.vmdk を作成
buildするための環境だけ入れるなら5GB程度で十分。
DOSプロンプトを開き、QEMUのアーカイブを展開したフォルダで
qemu-img create -f vmdk Vine.vmdk 5G
とやれば、Vine.vmdk というファイルが作成できる。
(DOSプロンプトの使い方が分からない人は別途調べてください。MS製フリーソフト
PowerToysに含まれる CommandPromptHereなどを利用すると便利でしょう)
(3)仮想PC設定ファイル Vine.vmxを作成
以下をコピペして Vine.vmx という名前のテキストファイルとして保存する。
displayName = "Vine Linux"
guestOS = "other26xlinux"
config.version = "8"
memsize = "256"
ide0:0.present = "TRUE"
ide0:0.fileName = "Vine.vmdk"
ide1:0.present = "TRUE"
ide1:0.deviceType = "cdrom-image"
ide1:0.fileName = "D:\temp\Vine42-i386.iso"
floppy0.present = "FALSE"
ethernet0.present = "TRUE"
ethernet0.connectionType = "bridged"
usb.present = "FALSE"
sound.present = "FALSE"
Vine LinuxのCDイメージ・ファイルのファイル名、パス名は適宜書き換えること。
上記の設定では D:\temp\Vine42-i386.iso となっている。
マルチコアCPUなど使っている場合には numvcpus = "2" などと追加すると、仮想PC
もマルチプロセッサを扱うようになる。
http://easyvmx.com/ に行けば、以上の作業を対話形式で自動的にやってくれる
らしいけれど、当方は使ったことはないので、必要な人は自分で調べてください。
(4)Vine Linuxのインストール
作成した Vine.vmx をダブルクリックすると VMware Playerが起動し、インストール
が始まる。Linuxを使ったことのない人のために以下補足。
- インストーラ起動直後 boot: に対しては enterを押す
- インストールの種類は「最小構成」を選ぶ
- パーティションの設定は自動設定を選ぶ
- ネットワークの設定は新しいPCを購入したときと同様に。
固定IPの場合、アドレスは既存のPCと重複しないよう。
DHCPを使っているならば、デフォルトのままで OKでしょう。
- ファイアウォールの設定は本当にRockboxのbuildにしか使わないなら「なし」
でも可(ないほうが後々楽かも?)。他の用途にも使う場合にはそれなりに
- rootのパスワードと自分のユーザアカウント設定は必ず行うこと
(rootというのはWindowsで言うところの administrator 管理者です)
- パッケージグループでは「開発ツール」のみ選択(gccとgdb のみでOKなのかも)
他の機能も入れたい人はお好みで(作成した仮想HDDの容量と相談の上)
ほとんど最小構成なのでインストールは5分ほどで終了し、再起動すれば使える
状態になっているはず。
システムの読み込みが終わると login: のプロンプトが出るので、先ほど設定した
ユーザ名とパスワードでログインする。
(5)システムを最新状態に更新する
Windowsで言うところの Windows Update。
Linux では、ソフトのインストール等システムに変更を加える場合には root 権限
で作業を行う必要がある。
プロンプトで su コマンドを入力するとパスワードを求められるので、先ほど設定
した root のパスワードを入力すると、プロンプトが $ から # に変わる。
この状態がユーザから root に変わった状態。(ユーザに戻るには ctrl-Dを押す)
Vine Linuxではソフトのインストールや削除・更新には apt-get というコマンド
を利用する。
apt-get update
apt-get check
apt-get upgrade
と三つのコマンドを入力すると更新の確認、更新ファイルのダウンロードおよびイン
ストールが行われる。
以上、やらなくても動作上は問題ないけれど、ここから先、他のパッケージのイン
ストールもあるので、apt-get update だけはやっておいた方がいいかも。
(6)subversionをインストール
Rockboxのソースのバージョン管理は subversion というシステムが使われている
ので、これを扱うソフトをインストールする。以下の通りコマンド入力すると、
subversion の実行に必要なソフト一式がインストールされる。
apt-get install subversion
(7)zip をインストール
build 後に最終的に完成したパッケージをまとめて zipファイルにするため、
zip アーカイバをインストールする。
apt-get install zip
(8)Rockbox のソースをダウンロード
ユーザに戻って以下を実行すると公式サイトから最新版のソース一式のダウンロード
が始まる。ソースはホームディレクトリ直下の rockbox というディレクトリに入る。
cd
svn co svn://svn.rockbox.org/rockbox/trunk rockbox
最初の cd は change directory の意味。
通常はディレクトリ(Windowsで言うところのフォルダ)の移動に使うが、移動先
を指定せず「cd」だけ実行すると、ユーザのホーム・ディレクトリ(ログイン時
に入る場所)に戻る。
ls コマンド(listの意味)を入力すると、現在いるディレクトリのファイル一覧が
表示される。ls -l と「-l」オプション(long の l)を付けるとファイルの属性
等の詳細情報も表示される。
ls コマンドを実行して rockboxというディレクトリができていることを確認して
ください。
(9)クロスコンパイラのインストール
再び su を実行し、root権限でクロスコンパイラ(i386以外のCPU向けのプログラム
を出力するコンパイラ)をインストールする。
自動インストーラが rockbox内のtoolsというディレクトリに入っているので、
以下のように移動して実行する。この自動インストーラを実行するためには wget
コマンドが必要になるので、先にこれもインストールしておく。
su
apt-get install wget
cd rockbox/tools
./rockboxdev.sh
必要なバージョンを選択するように求められるので、自分の使ってる機種用の
ものを選択する(iRiver h120 ならば m、iPodならば a など)。
このインストール作業には、それなりに時間がかかります(遅い PCでは数時間の
場合も)。
お茶でも飲んで待ちましょう。
(10)クロスコンパイラの PATH を設定
(9)の最後に「Make your PATH include :/usr/local/m68k-elf/bin」などと
表示される(先ほど選択したクロスコンパイラの種類によって内容が変わるので、
ここに出たメッセージはメモを取っておくこと)。
コマンドを実行する際の検索経路に今インストールしたクロスコンパイラのイン
ストール先(/usr/local/m68k-elf/bin)を含めるように設定せよ、という意味。
設定方法はいろいろあるが、今回はユーザの環境設定ファイルに書き込む方法で
行う。作業には適当なテキスト・エディタが必要。Linux用のものでお好みのもの
がある人はそれを利用してください。ここでは取り敢えず jed というエディタを
使うことにする。root権限でインストール。
apt-get install jed
これ以下、ctrl-D を押し、ユーザ権限に戻って作業を行う。
cd
jed .bashrc
ホームディレクトリの .bashrc というファイルを jed で開き、以下のように一行
書き加える。
export PATH=$PATH:/usr/local/m68k-elf/bin
「:/usr/local/m68k-elf/bin」の部分は、実際には先ほどのメッセージで表示され
ていたものを書き込む。
ctrl-X ctrl-C と続けて押すと jed の終了になるので、「保存するか?」に y と
答えて保存終了。(F10を押せばメニューからも選べます)
今行った設定変更を有効にするために、一旦ログアウト(ctrl-D)して、もう一度
ログインし直します。(ログインの際に設定ファイルが読み込まれる)
printenv コマンドを実行し、PATH=の末尾に先ほど設定した文字列が加わっている
ことを確認してください。
(11)作業用ディレクトリを作成
以下の通り実行し、build作業用のディレクトリを作成する。
(実際には「build」という名前でなくてもOK。お好みで)
cd rockbox
mkdir build
mkdir コマンドの意味は「make directory」。
ls コマンドで build というディレクトリ(青で表示)が作成されていることを
確認します。
以上でようやく Rockbox をソースから build する環境が揃いました。
Vine Linux のインストールCD-ROMのイメージが不要な場合、Vine.vmx の中の
一行を ide1:0.present = "FALSE" と変更すれば、消してしまって大丈夫です。
(変更しないと、CDがないぞ、と警告が出ます)
続けて build を行います。すべてユーザ権限で行います。
(12)configure を実行
さきほど作成した build ディレクトリに移動し、rockbox/tools にある configure
コマンドを実行します。
cd build
../tools/configure
ターゲット機とビルドする対象を選択を求められますので、入力してください。
ビルドする対象はバージョンアップならば Normal でOKです(.rockbox の作成)。
他の選択肢については公式サイトなどを調べてください。
(13)build実行
同じく build ディレクトリ内で make を実行します。
make
マルチコア/マルチプロセッサ環境の場合には -j オプションを付けると速くなり
ます。
make -j
(14)zipでまとめる
以上で buildは完成しました。
このままの状態では、プレーヤのインストールに不要なファイルなども一緒に
ディレクトリ内に置かれている状態ですので、必要なファイルだけを zip に
まとめます。
make zip
これで rockbox.zip というファイルが完成しました。
中身はお馴染みの .rockbox です。
この文章を書きつつ、クソ遅いPC(Athlon XP 1.8GHz)上のWin2000を使った作業
で、ここまで約2時間を要しました。
なお、次回以降、最新版にバージョンアップする場合には、
- ホームディレクトリで svn update rockbox してソースの更新
- rockbox/build に移動
- ../tools/configure
- make
- make zip
以上で終わり。
Linux の終了は root権限で shutdown -h now、再起動は reboot コマンドです。
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